どーもこんにちは、カリパイです。
昨日3月30日(月)からいよいよセブ州全域で Enhanced Community Quarantine (ECQ)「強化されたコミュニティ検疫」が始まりました。要するに移動制限・終日外出禁止。
既により強固な内容で実施をしているセブ市等も含め、セブ州全域での措置です。
カリパイも昨日「HQP(Home Quarantine Pass)」いわゆる「外出許可証」をゲットしました。
この許可証により、買い物など生活に必要な外出が可能となります。※各種制約下
参考 セブ島在住者として感じるコロナ関連のこと(1)入国禁止措置カリパイの部屋 参考 セブ島在住者として感じるコロナ関連のこと(2)強化されたコミュニティ検疫(Enhanced Community Quarantine)カリパイの部屋施策の実施は地域によって温度差あり?
昨日、バランガイ(地域の役所的存在)のスタッフが家に来てHQPを受け取ったのですが、その際にスタッフといろいろ話をしてわかったこと。
カリパイの地域では・・・
- 21時~5時の外出禁止
- 上記の時間帯以外で外出する際はHQP必携
- HQPは各世帯に1枚の配布(つまり外出時は世帯で1人)
- 21歳未満と65歳以上は完全外出禁止
こんな感じです。
説明を聞く限りでは「絶対に一歩たりとも家から出るんじゃねぇ!」というような厳しいものではないのかなぁと。
ただし、隣接する他の地域(行政区)へ行くことはできません。※厳密には別途「通行パス」が必要
なので、これらをまとめるとカリパイの住む地域では、「門限内に限り、HQPを持っていれば地域内を自由に出歩ける」となります。
これ、結構拍子抜けというか、そこまでの閉塞感は無いなぁという印象です。
もちろん、営業している店舗・業種は限られていますし、何より他地域へ行くことができないのは辛いですよ。
ですが「玄関から一歩も外へ出るな!」というまさしく監禁状態ではないのは、精神的に助かりますね。
もう一度断っておきますが、これはあくまでもカリパイが住んでいる地域での話です。
想像するに、他の地域ではもっと厳しい制約があったり、逆にもっと緩かったりしているでしょう。
わかりやすい例で言えば、「都心部と田舎町」でしょうか。人の出入りが多い地域とそうでない地域では、動員されている警察・軍などの人員も違うでしょう。
良いも悪いも地域差が出るのは既定路線ですが、そもそもその地域を統括するリーダーのさじ加減ひとつという属人的な社会構造が、改めて浮き彫りになっていると感じます。
超格差社会
宮沢賢治の代表作『雨ニモマケズ』の一節に「一日ニ玄米四合ト味噌ト少シノ野菜ヲタベ」とありますよね。
- 1日に玄米4合と味噌と少しの野菜を食べ
フィリピンで現代的な生活を送っている家庭では「1日に白米6合とフライドチキンと炭酸飲料」となるでしょうが、要するに「贅沢をせず慎ましく生きなさい」という話です。
フライドチキンのくだりは冗談っぽく書きましたが、実際問題、大多数の家庭はその日の食費を工面するのも大変な状況です。その一方で、十分な収入があり持ち家や自家用車を所有することができる生活水準の家庭もあります。
カリパイの住んでいる地域はその両者が混在(厳密には区分けされている)しているため、実感としてどちらの様子も肌で感じ取ることができます。
前にもブログに書きましたが、元カノの家は貧困エリアにあり、カリパイもそこで数か月間生活をしました。
夜間、家の外にバイクを止めておくと即盗まれます。薬中がそこら辺に沢山いて、毎日誰かが銃で撃たれて死んでいました。件数が多すぎてニュースにもなりません。蟻・蚊・ダニ・ゴキブリは駆除するものではなく共存するもの。冷蔵庫がないので食品の保存もできず、雨漏り隙間風、野犬集団との格闘。
彼らの生活がいかに厳しいものかは、自分が実際にその中で生活したことにより初めて実感することができました。
なので、今このコロナによる状況がどれほど大変なことなのかも痛いほどわかります。
ですが、一方では毎日フードデリバリーを注文することができる、余裕のある層もいます。彼らはこの騒動下でも特段困っていないでしょう。なぜなら十分な食料を買い込むことができる財力があるからです。
「可哀想だ!」とか「不公平だ!」という話ではなく、これがリアルな社会なんだと。
もし自分がずっと日本で暮らしていたら絶対に気付かなかったでしょうし、言葉では語れても実感の伴っていないその言葉に説得力はないでしょう。
このような非常事態とも取れる状況下では、いつも以上に様々な社会問題が表面化するなぁと実感しています。
パニック買い(panic buying)
勘のいい人は、もうこの時点でカリパイがどんな話をしたいのか気付いているでしょう。
先週末、外出制限が始まる前にいつものスーパーへ足を運ぶと、そこには今まで見たことのない数の買い物客が殺到していました。
いわゆる「パニック買い(panic buying)」です。
買い占めという表現よりこの「パニック」という言葉がしっくりくるそんな光景。
「こりゃ相当時間がかかるな」と諦めて帰りたいところでしたが、自分が生活するための食料を買わないわけにはいきません。
幸いその時は、消毒用アルコールを除いて特段欠品している商品もなく、「買えないものがある!」というストレスはありませんでした。
ところが問題はレジ待ちです。
ソーシャルディスタンスの影響もあってかレジ前から長い列が延びており、その列に加わり周囲を見渡した時、あることに気付きました。
それは「買い物客にも大きく分けて2つの属性がある」という点です。
買い物カートの中を見ると一目瞭然ですね。
インスタント麺・缶詰が中心の人と、冷凍食品・精肉・野菜が中心の人。中にはアイスクリーム・お菓子を大量に買い込む人も。
インスタント麺や缶詰が中心の人は、先ほども触れた「冷蔵庫がない家庭」の可能性が高いです。一方、日持ちのしないものや冷蔵・冷凍が必要なものを購入している人は、いわゆる財力に余裕のある人かと。
ただし、前提条件として、スーパーへ買い物に来ている人というのは正直言ってある程度はお金に余裕のある人が多い印象です。なぜなら、特にお米や卵、肉や野菜など食生活に欠かすことのできない食材に関してはローカルマーケットの方が格段に安く購入できるからです。
カリパイも時間が許すときは、品物によってスーパーとローカルマーケットを使い分けるようにしています。とはいえ、面倒なのでそのままスーパーで全部買ってしまうことも多いです。
結局のことろ、パニック買いにおいて、それぞれの立場により切実さというか目的意識が違う。
今ある有り金を全部はたいてでも買えるだけ買っておかないと食べ物がなくなってしまう!という人と、「とりあえず」みんなが買い漁っているから自分も買っておくか!という人。
加えて「私はこんなにも大量に買い込むことができるのよ」と自分の財力を誇示したい人も少なからずいると思います。要は自慢ニキです。
あと、テレビ・SNS等のメディアの影響もあるでしょう。「大変な行列ができています!」「品薄な状態です!」と煽ってますから。
先週末以来、まだ買い物に行っていないので、今現在の状況はわかりません。
ですが、自分の予測では、もうしばらくすると先のようなスーパーにおける大混雑は解消されるのではないかと。
というのも、今後「買い物をする資金が尽きる家庭が続出する」と思うからです。
一部ニュース報道を見ていると、地域によっては配給も始まっているようですが、ピンハネや横領など、ここもまた数多くの問題を抱えている事案と言えるでしょう。
まとめ
結局のところ、パニック買いは長い行列を生み出し買い物が不便になります。
ですが、それは皆、生きるための必死の行動であり、理解・納得できる部分もあります。
もちろん不便ですよ。でも現状では時間がかかっても食料品を手に入れることが可能ですし、暴動や略奪ではなく社会的秩序が保たれた行動と考えたいです。
とはいえ、この状況が長引けば、そういった社会秩序の崩壊が起こる可能性もあるわけなので、その点には注意が必要でしょう。
ともあれ、途切れることなく延々と続く長いレジ待ちにずっと対応し続けているレジスタッフさんには、本当にご苦労様と言いたい。
一昨日は、ローカルマーケットで卵を買うために列に並んでいたところ、割り込みをする人がどんどん増え大パニック状態に。
その時、卵売りのおじさんが「ちゃんと並べ!」と大声で一喝し、「次はこのお兄ちゃんの番だ!」とカリパイをケアしてくれたときは本当に嬉しかったですね。
しかもそのおじちゃん、そんな大混乱な状況でもめちゃくちゃ接客が丁寧でした。おじさん、カッコ良すぎ!
※本記事は一個人の立場での見解であるとともに、内容は記事執筆時点でのことである旨をここに明記します
卵売りのおじさん最高です。どこに行っても心意気のある人に接すると元気をもらいます。外国人をないがしろにするのに躊躇いのない人が多い中、ちゃんと人間扱いされるとうれしいですね。
kujiranさん
ほんとその通りですね。
自分も心意気のある人間として生活していきたい。改めてそう感じた出来事でした。