どーもこんにちは!カリパイです。
部屋に閉じこもって悶々とした日々を過ごしていると、SF映画でも観て宇宙の果てを想像しながら現実逃避したくなりますよね。
更に言えば、ちょっとしたラブストーリーでドキがムネムネしてみたい笑。
今回は、そんな欲求を満たしてくれる素晴らしい映画『パッセンジャー(原題)Passengers』のご紹介です。
この作品について
2016年12月にアメリカで公開され、日本では2017年3月に公開されたこの映画。
ジャンル的には宇宙ものドストライクのSFですが、「宇宙でたったふたりの運命は?」というキャッチコピーの通り、ラブロマンス的な要素も兼ね備えています。
監督のモルテン・ティルドゥムは、Amazonビデオ(Amazon Prime Video)のドラマ『ジャック・ライアン(Tom Clancy’s Jack Ryan)』というドラマシリーズを手がけていますね。
自分も『ジャック・アイアン』のシーズン1・2両方とも既に観ましたが、なかなか面白い! この作品は、アマゾン・プライム会員なら無料で観ることができるので、既にプライム会員だ!という人は是非観てください。
ちなみに『ジャック・ライアン』は「海外から視聴可能な作品」なので、海外在住者でも問題ないですよ!
出演者について
主人公の1人「ジム・ブレストン」を演じるのは、イケメン俳優でおなじみの「クリス・プラット」です。
彼の出演映画で有名なのは、マーベル作品の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズですね。
2015年に公開された『ジュラシック・ワールド』でも主演を務め、ジュラシック・パークシリーズで過去最高の世界興行収入を記録しました。
要するにイケメン俳優です。はい。
もう1人の主人公「オーロラ・レーン」を演じるのは、「ジェン」の愛称で親しまれている美人女優「ジェニファー・ローレンス」です。
彼女が出演している映画は、有名所でいくと『ハンガー・ゲーム』『X-MENシリーズ』ですが、個人的には2018年に公開された『レッド・スパロー』という女スパイ(工作員?)映画が特に気に入ってます。
『レッド・スパロー』については別記事で紹介しているので、興味のある人はチェックしてみてください。
【痛快】女スパイに生まれ変わった女性の物語 ー 映画『レッド・スパロー』
ストーリーの中盤以降に登場する「ガス・マンキューゾ」を演じるのは、『マトリックス』シリーズでおなじみの「ローレンス・フィッシュバーン」です。
ガスは、ジムとオーロラが乗っている宇宙船(アヴァロン号)の異常事態を解決するキーパーソンですが、いろいろな問題が・・・。
その問題については後ほど詳しく触れたいと思います。
あらすじ
宇宙船「アヴァロン号」は、宇宙移民を目的とした5,000人の乗客と数百人のクルーを乗せ、地球を出発する。
目的地の惑星までは120年かかるため、乗客・クルーともに冬眠装置(カプセル)で眠っていた。ところが旅の途中、宇宙船の不具合でジムだけが目を覚ますこととなり、その時点から目的地まではまだ90年もかかることを知る。
90年・・・つまり、このままでは宇宙船内で一生を過ごすことになるため、冬眠装置の修理を試みたり地球へ救助の連絡をしたりするが全て上手くいかず、ジムは絶望的状況に追い込まれることとなる。
誰もいない船内(みな冬眠中)で1人きりの生活を続けるジムは、目覚めてから一年を過ごしていた。話し相手はアンドロイドのバーテンダーのみ。
そんなある日、冬眠装置で眠る乗客の1人であるオーロラに一目惚れしてしまい、彼女を目覚めさせたい気持ちになる。しかし、目覚めさせるということは彼女の人生を奪ってしまうことを意味し、起こすか起こさないか日々葛藤していた。
結局ジムは、1人きりではさみしいという自分の気持ちに勝てず、冬眠装置に細工をしオーロラを起こしてしまった。
目を覚ましたオーロラ。最初はこの状況を理解するまでにひどく困惑しパニックを起こすが、ジムとの生活の中で次第に現実を受け入れ、そして2人は互いに惹かれ合うようになる。
何だかんだでラブラブな2人。ところがある日、ひょんなことから「ジムが意図的にオーロラを目覚めさせた」という事実がバレてしまい、オーロラは怒り狂う。
そして「あなたは私の人生を奪った!」とジムを激しく責め立てる。
そんな中、宇宙船内では様々な不具合が日増しに起きるようになり、その影響でクルーの1人であるガスの冬眠装置が故障。ガスも冬眠から目覚めることになる。
ガスが宇宙船の不具合を調べていくと、宇宙船に事故によってできた致命的な故障が見つかる。
さぁこれから3人で宇宙船の修理を試みようという矢先、ガスの体調が著しく悪いことが判明し、そのままガスは命を引き取ることとなる。
ガスから船への全権アクセスキーを受け取ったガスとオーロラの2人は、互いのわだかまりを一旦封印し、協力して船の修理に挑むのだが・・・。
果たして無事生き残ることができるのか?2人の運命はいかに・・・。
ネタバレを含む考察&感想
あらすじを読み終わった今「うぉ~これは面白そうな映画だ!」と思った人は、今すぐ映画を観てくださーい笑。
と言うのも、ここから先は「ネタバレ」を含む考察&感想を書いていくからです。ここからは、ネタバレを気にしないという人だけ読み進めてください。
賛否の分かれた作品
この映画は、ストーリーや設定、特にジムとオーロラの2人の関係について批評家の間で賛否が分かれたようですが、個人的には「面白かった」「観てよかった」と思える映画でした。
賛否が分かれた大きな理由は、ジムがオーロラの人生を奪った点ですね。
ジムが「この子に惚れた!」「二人きりで余生を過ごしたい」と自らの欲求を満たすために意図的にオーロラを目覚めさせる。
つまり、自己都合で他人の人生を奪ってしまうとは何事か!となるわけです。
確かにもっともな意見・正論ですよね。倫理的には。
でも、どうでしょうか。もしも自分がジム(男性)の立場だったなら、オーロラ(女性)を目覚めさせずその後も一人きりで生きていけるのか。
う~ん、冷静に考えればそんなことはしないでしょうが、実際に自分が極限の状態におかれていたならば、冷静な判断、理性的な判断ができないかなぁと。
なので、自分的にはジムの取った行動を理解することができます。
一方、ジムの個人的な事情から「無理矢理」起こされてしまったオーロラの立場から考えてみるとどうでしょうか。
本来であれば120年間の冬眠を経て、新しい惑星で新しい人生をスタートさせるはずだった。それが、ジムのせいで起こされてしまい、宇宙船で残りの人生を過ごすことになったわけですよ。
百歩譲ってジムと元々面識があれば話は違うかもしれません。ですが、「あんただれ?」状態・面識のない男性に、自分の人生を奪われてしまったんです。
これ、もしも自分がオーロラの立場だったら発狂もんですよね。
でも、映画の中では、最終的にオーロラはジムを許し二人で余生を送ると。
この部分、「そんな簡単に許すなよ!」と批判が集まったとのことなんですね。簡単に許すというか、もっとその部分の描写を繊細に描いて欲しかったとも取れます。
ですが、このような作品への解釈や、「こうあるべきだ!」といった映画を観た人がそれぞれ持っている理想について議論することは、ある意味では映画の醍醐味ですし、議論が起こるということはそれだけ「物申したくなる」ほどに気を引く作品だということでしょう。
結局この映画のテーマは何なのか?
人気イケメン&美人俳優を起用したいわゆる「美男美女で文句あるまい!」的な映画なので、興行面ではおそらく成功だったと思います。脚本の奥深さと言うよりも、キャストで数字を取りにいく的なね。
でも、宇宙船内のビジュアルや無重力状態での映像描写など、かなり美しい映像が多いので、その点でも十分楽しむことができる作品だと思います。
では結論、この映画のテーマは何だったのか?
個人的には「人間の生き様とは?」だと思います。
ジムは「機械の故障」により目を覚まします。つまりそれは、故障というアクシデントによって人生を奪われてしまったということです。
オーロラは、人生を失ったジムによって意図的に目を覚まされます。一見、ジムが加害者でオーロラだけが被害者にも見えますが、
- 機械の故障→ジムが目覚める
- 人間的故障(ジム)→オーロラが目覚める
このように整理すると、オーロラもある意味ではアクシデントによって人生を奪われたと考えることもできるのではないでしょうか。
つまり、この世の中というのは、どこにでもアクシデントが起こりうる、そしてたちまち人生を奪われてしまうと。
ですが、そんな状況下で「どんな行動を取るのか?」そして「どのように生きていくのか?」という部分が問われているし、そこが一番大事だと。
まさに「人間の生き様」ですよね。
目の前のアクシデントや不幸をどう受け入れ、そして先のない絶望の中でも人としてどう生きていくのか、この部分に注目しながら、そして自分の人生を照らし合わせながら映画を観て欲しいと、モルテン・ティルドゥム監督は考えたと推測します。
個人的に好きな場面
この映画を観て一番心に残ったシーンは、宇宙船の故障の原因となっている核融合炉を修復する場面です。
核融合炉の修理を行うには炉内にたまっている熱を放出する必要があるのですが、その排熱ダクトは故障していて、宇宙船外から手動で開ける必要があるんです。
そこで、ジムがその作業をしに船外へ向かうわけですが、その場面でのオーロラのセリフにグッときます。
Jim, Come back to me.(ジム、私のために戻ってきて)
I can’t live on the ship without you.(あなた抜きではこの船で生きていけないわ)
オイオイオイオイ!
そんなセリフ、一度でいいから言われてみてぇ~よぉ~。
ジムへのわだかまりが解け、むしろジムを必要としているオーロラの心境が見て取れますよね。
オーロラのこの問いかけに、ジムはかすかに微笑み返し、そのまま船外へ出て行きます。
そして、排熱ダクトへ到着したジム。
手動でハッチを開けることに成功しますが、開けたハッチは手を離すとすぐに閉まってしまうんです。
つまりハッチを開けて放熱するためには、ジムがその場にとどまりハッチを開け続けなければならないんです。
しかし、それはものすごい高熱を全身で受け止めることになるため、その作業をするイコール死を覚悟する必要があるわけです。
その状況をオーロラに伝えると、彼女は「そんなのダメ!すぐに戻ってきて!」と泣きながらジムに懇願します。
その場面でオーロラがジムへ放ったセリフがこれまたグッときます。
I don’t care! You die, I die.(そんなの関係ないわ!あなたが死んだら私も死ぬの)
この「You die, I die.」というセリフは、ものすごくシンプルなフレーズですが、とても深いですよね。
もう少し意訳すると「あなたとは運命共同体なの」といった感じでしょうか。
自分の大切なパートナーからそんなこと言われたら、嬉しいですよね。いかん、妄想が止まらない・・・。
結局ジムは「この船には5,000人以上の人間がいて、自分は彼らを救う必要がある」とオーロラを説得し、実行します。
そして、ものすごい高熱波を受けたジムは何とか持ちこたえるものの、その勢いで宇宙空間へ放り出されてしまいます。
着ていた宇宙服には高熱によるダメージがあり、ジムの意識はどんどん遠のいていく・・・。
オーロラが宇宙服を着て船外へ飛び出し何とかジムを回収しますが、医療ポットへ運び込んだ時点でジムは既に心肺停止状態。
しかし、オーロラの必死の行動により、幸いにもジムは息を吹き返す。
といった流れになります。※詳しい描写は映画をご覧になって確認してください
まとめ
宇宙船の中で90年を過ごす、つまりそこで一生を終えることがわかっている状況で、「何をするのか・どう生きていくのか」と想像すると、重たい気持ちになってしまいそうですよね。
ですが、最愛の人とならきっと幸せな時間を過ごすことができるのでは?そんな気持ちにさせてくれる映画でした。
ですが、よくよく考えれば、ジムによって意図的に目覚めさせられたオーロラが、紆余曲折を経てジムを許し受け入れることができたからこそ、成り立つ話ですよね。
オーロラの素晴らしい人間性に脱帽です。
いやぁ~良い映画だったなぁ。